“ 雇用維持のためにやるべきこと、やれること ”
急激な景気後退が、中小企業経営に深刻な影響を及ぼしており、会社存続のために、人員整理(整理解雇)を検討する会社もあります。しかし、これは最後の手段であって、まだやれることはないかを徹底的に考え、実行することが大前提です。
【人件費削減への取り組み】
大幅な売上減が続くと、人件費の負担が大きくなり、人員削減を真剣に考えざるを得ない中小企業が多くなると思います。しかし、業績が悪化したから、即、従業員を解雇するということはできません。また、解雇は、残った従業員の間にも不安が広がり、士気の低下、さらなる業績悪化という悪循環になりやすいことを考えておかなければなりません。中小企業では、従業員の解雇は、営業や品質に大きな影響を及ぼすため、解雇を避ける努力をしているところが多いようです。内閣府の「2008年企業行動に関する調査報告書」(平成21年4月21日)によると、利益を確保するために、正社員の雇用調整を実施した企業の具体策は、「残業削減」(85%)、が最も高く、次に「採用抑制」(50.1%)、「賃金調整」(40.7%)となり、「解雇」は4.7%となっています。まずは、解雇の前にできることはないか、考えてみましょう。
(1) 残業削減・・・・・ 雇用調整への取り組みで最も多い残業削減については、本当に必要な残業なのか、ダラダラ残業がないか、作業の進め方に無駄がないかなどを見直すことで、業務の効率化を進めることになり、人件費だけではなく、その他の経費の削減にもつながります。ある大手スーパーが店舗ごとの残業時間を調べたところ、残業時間の長い店舗ほど、売上が低いうえ、食品廃棄のロスも多かったという事例もあります。残業の削減を、社長のかけ声だけで終わらせるのではなく、社内の仕組みとしてきちんと落とし込み、効率化をはかりましょう。
(2) 一時休業・・・・・ 一時休業とは、使用者が経営上の都合により労働者を自宅待機や教育訓練などの形で一定期間業務を休ませることをいいますが、休業中も休業手当として平均賃金の6割以上を支払わなければなりません。
【雇用に関する助成金を活用する】
一時休業を行うにしても、受注減により売上が減少するなか、休業手当を支払うことは容易ではありません。そのため、「中小企業緊急雇用安定助成金」などの助成金の活用を検討してみましょう。すでに多くの中小企業が申請されています。「中小企業緊急雇用安定助成金」は、景気変動などによって生産量が減少し、事業活動の縮小がやむを得ないときに、従業員を解雇せずに、休業等により雇用を維持した場合に、休業手当または賃金の4/5※が助成されるものです。
※ 平成21年度補正予算によって9/10に引き上げられる予定。
【解雇は最後の手段】
解雇とは、経営者が一方的に従業員との労働契約を解除することですが、法律上、解雇が禁止・制限されている場合があり、仮に解雇を実施する場合は、労働基準上で所定の手続きが定められています。また、客観的、合理的な理由がなく、社会通念上相当でないとみなされる場合には、権利の濫用とされ、解雇が無効になります。(労働契約法第16条)。経営不振などを理由として行われる「整理解雇」の場合、次の点と雇用実態を総合的に考慮して判断する必要があります。
1) 会社存続のためにやむを得ない人員整理であること。
2) 一時休業、希望退職の募集など、解雇回避のための努力をしたこと。
3) 解雇対象者の選定に合理性があること。
4) 従業員への十分な説明、協議が行われたこと。
つまり、労働時間の短縮、新規採用の停止、一時休業、希望退職者の募集などの雇用調整を行わなかった場合には、解雇を回避する努力をしなかったと判断されます。あくまでも解雇は最後の手段ということを知っておきましょう。


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