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2009年8月28日 (金)

“ 雇用維持のためにやるべきこと、やれること ”

急激な景気後退が、中小企業経営に深刻な影響を及ぼしており、会社存続のために、人員整理(整理解雇)を検討する会社もあります。しかし、これは最後の手段であって、まだやれることはないかを徹底的に考え、実行することが大前提です。

【人件費削減への取り組み】

大幅な売上減が続くと、人件費の負担が大きくなり、人員削減を真剣に考えざるを得ない中小企業が多くなると思います。しかし、業績が悪化したから、即、従業員を解雇するということはできません。また、解雇は、残った従業員の間にも不安が広がり、士気の低下、さらなる業績悪化という悪循環になりやすいことを考えておかなければなりません。中小企業では、従業員の解雇は、営業や品質に大きな影響を及ぼすため、解雇を避ける努力をしているところが多いようです。内閣府の「2008年企業行動に関する調査報告書」(平成21年4月21日)によると、利益を確保するために、正社員の雇用調整を実施した企業の具体策は、「残業削減」(85%)、が最も高く、次に「採用抑制」(50.1%)、「賃金調整」(40.7%)となり、「解雇」は4.7%となっています。まずは、解雇の前にできることはないか、考えてみましょう。

(1) 残業削減・・・・・ 雇用調整への取り組みで最も多い残業削減については、本当に必要な残業なのか、ダラダラ残業がないか、作業の進め方に無駄がないかなどを見直すことで、業務の効率化を進めることになり、人件費だけではなく、その他の経費の削減にもつながります。ある大手スーパーが店舗ごとの残業時間を調べたところ、残業時間の長い店舗ほど、売上が低いうえ、食品廃棄のロスも多かったという事例もあります。残業の削減を、社長のかけ声だけで終わらせるのではなく、社内の仕組みとしてきちんと落とし込み、効率化をはかりましょう。

(2) 一時休業・・・・・ 一時休業とは、使用者が経営上の都合により労働者を自宅待機や教育訓練などの形で一定期間業務を休ませることをいいますが、休業中も休業手当として平均賃金の6割以上を支払わなければなりません。

【雇用に関する助成金を活用する】

一時休業を行うにしても、受注減により売上が減少するなか、休業手当を支払うことは容易ではありません。そのため、「中小企業緊急雇用安定助成金」などの助成金の活用を検討してみましょう。すでに多くの中小企業が申請されています。「中小企業緊急雇用安定助成金」は、景気変動などによって生産量が減少し、事業活動の縮小がやむを得ないときに、従業員を解雇せずに、休業等により雇用を維持した場合に、休業手当または賃金の4/5※が助成されるものです。

※ 平成21年度補正予算によって9/10に引き上げられる予定。

【解雇は最後の手段】

解雇とは、経営者が一方的に従業員との労働契約を解除することですが、法律上、解雇が禁止・制限されている場合があり、仮に解雇を実施する場合は、労働基準上で所定の手続きが定められています。また、客観的、合理的な理由がなく、社会通念上相当でないとみなされる場合には、権利の濫用とされ、解雇が無効になります。(労働契約法第16条)。経営不振などを理由として行われる「整理解雇」の場合、次の点と雇用実態を総合的に考慮して判断する必要があります。

1) 会社存続のためにやむを得ない人員整理であること。

2) 一時休業、希望退職の募集など、解雇回避のための努力をしたこと。

3) 解雇対象者の選定に合理性があること。

4) 従業員への十分な説明、協議が行われたこと。

つまり、労働時間の短縮、新規採用の停止、一時休業、希望退職者の募集などの雇用調整を行わなかった場合には、解雇を回避する努力をしなかったと判断されます。あくまでも解雇は最後の手段ということを知っておきましょう。

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2009年8月24日 (月)

“ 中小企業の研究開発、教育訓練を応援する税額控除制度 ” Vol .2

◆ 研究開発促進税制

【研究開発に力を注ぐ企業を応援!】

厳しい経済情勢のなか、中小企業が売上を維持・拡大していくためには、自社の製品・サービスの研究開発が欠かせません。また、「企業の創意工夫や研究開発等によるイノベーションに関する実態調査」によれば、売上高に占める新製品の割合が高い企業ほど増収傾向にあることがうかがえます。このように、研究開発に取り組む中小企業を応援するために、試験研究費の一定割合を税額控除できる制度があります。

Q5.税額控除の対象となる試験研究とはどのようなものですか?

A5.製品の製造、または技術の改良、考案あるいは発明にかかるものが対象になります。具体的に次のような費用が対象です。

・原材料費・・・研究のための材料費、部品代

・人件費・・・研究に携わる従業員の給料や賞与

・経費・・・研究設備の減価償却費、水道光熱費

・外注費・・・外部へ試験研究を委託した費用

※ 試験研究費に含まれる人件費の対象

人件費の計算においては、試験研究プロジェクトの担当業務にかかる賃金・給与、諸手当、賞与、退職金、法定福利費(健康保険法、雇用保険法による事業主負担額)、福利厚生費(医務、衛生、保険その他の従業員の福利厚生にかかる費用)等が含まれます(ただし、教育訓練費や従業員募集費等従業員を雇用するにあたって支出することとなる間接的な費用は含まれません)。なお、法人の所得金額の計算上、損金の額に算入されることが前提となります。

Q6.どれくらい控除できるのですか?

A6.(1)試験研究費の総額の12%の控除と、それとは別に次の2つの特例(2、3)のいずれかを選択適用することができます。

◎ 試験研究費の税額控除制度

(1) 試験研究費×12% + (2) 増加した試験研究費の総額×5%または、(3) 試験研究費の額-(平均売上金額×10%)  × (試験研究費割合※-10%)×0.2

(1)+(2)、(1)+(3)の組み合わせで控除が可能

※ 当期の試験研究費総額÷当期を含む4年間の平均売上金額

(注) (1)は、当期の法人税額の20%、(2)、(3)はいずれも当期の法人税額の10%が限度です。

また、試験研究にかかった費用を明確にしておく必要があります。中小企業の場合、通常の製造工程作業と試験研究工程とが実務上不明確になりがちですので、特に通常の製造にかかる費用と、試験研究にかかる費用とを会計処理上混同しないようにする必要があります。

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2009年8月18日 (火)

“ 中小企業の研究開発、教育訓練を応援する税額控除制度 ” Vol .1

景気が低迷するなか、コスト削減、緊急融資などで当面の危機を乗り切るとしても、その後の成長、発展のためには、人材育成や研究開発は欠かせません。税制には、中小企業の人材育成、研究開発を後押しする税額控除などの制度があります。

◆ 人材投資促進税制

【研修費用の一定額を税額控除できる】 

中小企業にとって、人材は重要な戦力です。不況による売上減を打開するために、販路拡大や顧客ニーズへの対応、新商品開発に向けた社員のスキルアップを考えている経営者も多いかと思います。こうした中小企業の人材教育にかかる費用の一定割合を税額控除できる制度があります。

Q1.どれくらい税額控除されるのですか?

A1. 当期の労務費に占める教育訓練費の割合に応じて、教育訓練費の総額の8~12%が税額控除されます。(当期の法人税額の20%が限度です)。以前の制度では、増加した教育訓練費にしか適用されないうえ、経費のなかから過去3年分の教育訓練費を洗い出す必要がありました。しかし、平成20年度税制改正によって、単年度の教育訓練費が一定の水準(0.15%)を上回れば利用できるようになっています。ただし、対象者、対象費用に一定の要件がありますので、期中から教育訓練費の集計をしておきましょう。

※事業基盤強化設備を取得して法人税の控除を受けた場合は、その残額が限度になります。

Q2.控除の対象となる研修費用はどのようなものですか?

A2. 社員等の職務上必要な技術、知識の習得や向上のための費用です。自社研修でなく、外部研修への参加でも構いません。

● 自社研修

・外部の講師や指導員を招へいする費用・・・講師への報酬、謝礼金、交通費、宿泊費、食費等

・外部の施設、設備、器具等を賃借する費用・・・会議室・実習室等の施設、パソコン、プロジェクター等の設備・器具等

・教科書、教材の購入費、教材の開発委託費

・外部に研修内容等の作成を委託する費用

● 外部研修

・外部に教育訓練を委託させる費用・・・民間教育会社、商工会議所等、事業として教育訓練を行っている外部教育機関に支払う講師の人件費、教科書、教材費、施設使用料等の委託費用

・外部研修への参加費用・・・講演会・講習会(参加料)、通信教育・研修講座(受講料)、技術指導(指導料)

Q3.正社員と一緒にパート社員も研修を受けさせたいのですが、対象となりますか?

A3. 会社(または個人事業)の正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトであっても対象となります。ただし、法人の役員または個人事業主(その親族を含む)、使用人兼務役員、入社内定者は対象にはなりません。

Q4.この制度の適用を受けた場合、法人住民税はどうなりますか?

A4. 法人住民税(法人税割)の計算にあたっては、税額控除後の法人税額が課税標準とされ、税額控除額×税率に相当する金額を法人割りとして納めなくてよいことになります。

 次週は、研究開発促進税制について、お送りします。

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2009年8月10日 (月)

『在庫』を見直そう!

「2009年版中小企業白書」によると、経済の急激な悪化に伴い、中小製造業では昨年秋頃から売上や受注の減少に伴って在庫の増加傾向が見られましたが、その後の大幅な生産調整で、今年になって前月比で在庫は減少傾向にあります。このように在庫の状態は、企業の業績と密接な関係があります。自社の適正在庫を知りその維持に努めましょう。

【在庫が資金繰りを圧迫する?!】

在庫とは、「販売を目的として保有・製造中の財貨または用役など」のことで、例えば、商品や製品、仕掛品、原材料などです。こうした在庫なくして企業活動は成り立たず、企業にとって重要な経営資源といえます。一般的に企業は商品等の品切れ等で販売機会を逃したくないなどの理由で、比較的多めに在庫をもつ傾向にありますが、これに景気悪化に伴う販売不振が加わって在庫が増加傾向にあるのではないでしょうか。しかし、過剰な在庫は会社の利益に影響を及ぼし資金繰りを圧迫する要因にもなります。

(過剰在庫・不良在庫をそのままにしておくと・・・)

● 在庫のままでは、売上や利益になりません。在庫は、お金が眠っている状態で、そのお金を他に使えず運転資金が固定化され、資金繰り難の一因となります。

● 在庫を保管しているスペースにかかる家賃負担、あるいは外部倉庫で保管している場合は、その賃借料・管理料等がかかります。

● 時間の経過に伴う品質の劣化、あるいは新商品・新製品の登場や流行遅れで、商品の価値が下がり、そのままでは売れなくなります。

【在庫状況を「たな卸資産回転期間」でチェック】

在庫状況を把握するには、「たな卸資産回転期間」を定期的にチェックすることも有効です。「たな卸資産回転期間」とは、商品を仕入れてから販売するまでの期間を示し、数値が短い方が望ましいとされます。なお、TKCの「月例経営分析表」で前年同月あるいは同業者と比較して、長くなっている場合は、在庫が停滞気味になっていることも考えられるので、倉庫などの現場に行って確認するなど原因分析します。

・たな卸資産回転期間(日数)= たな卸資産/純売上高 × 365

【実地たな卸で在庫の定期的チェック】

在庫が過剰になっていないか、不良在庫はないか、商品が劣化していないかなど在庫の状態を把握するには、実際に倉庫等に出向いて現物をあたる「実地たな卸」を行うことが有効です。実地たな卸は、売上原価の計算と棚卸資産の金額確定には欠かすことのできないものですが、実際に現物をあたって数量を数えるために、商品等の状態を手にとって確認することができます。その際、例えば、ほこりをかぶっていたり、色が変色していれば過剰在庫または不良在庫だとわかるので、商品管理の上でも重要となります。

『注意点・・・』

(1) 社長自ら商品等をチェックする

在庫管理や実地たな卸を社員にまかせっきりにせず、社長自ら定期的に倉庫など現場に出向いて商品等をチェックすることが必要です。

(2) 実地たな卸はこまめに行う

実地たな卸は、年1回決算時に行うだけでなく、定期的にこまめに行いましょう。企業によっては、在庫状況を的確に把握するため、毎月たな卸を行っている会社もあるようです。

(3)社外在庫についてもチェックする

特に「外注先に預けているもの」「得意先に委託商品として預けているもの」「輸送中のもの」などは、たな卸から漏れがちです。こうしたものについても確認しましょう。

【不良在庫等はどうする?!】

不良在庫となっているものは、そのままでは保管費用等がかかるだけですから、廃棄処分は考えられますが、廃棄するにも、産業廃棄物処理業者に処分費用を支払わなければならずお金がかかります。廃棄する前に、次のことを検討しましょう。

・ 返品できないか・・・ 返品が可能かどうか仕入先と交渉します。その際、仕入値での返品が無理であれば引下げも検討します。早めの交渉がポイントです。

・ 再加工できないか・・・ 再加工して別の製品にできないかを検討します。

・ 安く販売できないか・・・ 安くすれば販売できるものなら販売し換金します。商品等の種類によっては、在庫品を引き取る業者もいるようです。

※ 廃棄処分する場合は、破損状態等がわかるように日付入りで写真をとるなどして証拠となる記録を残しておきます。

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