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2009年6月26日 (金)

事業承継者の税負担を大幅に軽減する2つの納税猶予制度について

中小企業の事業承継では、経営者一族内の相続争いや、株式や事業用資産を後継者に集中させる資金の問題、さらに重い相続税負担などが、スムーズな承継を阻むという問題がよくありました。そのため、昨年、中小企業経営承継円滑化法が施行され、「遺留分に関する民法の特例」の創設や経営承継資金の融資支援対策が行われるとともに、相続税を納税猶予する制度の創設が明確にされました。そして、今年の平成21年度税制改正において、相続税だけでなく、贈与税の納税猶予制度も創設され、新しい事業承継税制の全体像が明らかになりました。

【相続税、贈与税の納税が猶予され一定の条件を満たせば納付が免除になる】

これまで中小企業では、後継者が先代から贈与や相続で得た自社株式などに多額の税金がかかることが事業承継を進めるうえで大きな問題となっていました。そのため、自社株式を分散させたり、あるいは後継者の税負担の大きい生前贈与を避けるため長期にわたって贈与するなどの対策をとってきました。しかし、その対策や相続発生による遺産分割が後継者の経営者としての地位を弱め、会社の弱体化につながる例がありました。このような背景から、平成21年度税制改正において、先代経営者が後継者(親族)に自社株式等を相続や贈与した場合に、その納税を猶予する制度が創設されました。しかも、猶予された税金は、一定の条件を満たす事で、最終的に免除となるため、後継者の税負担が大幅に軽減されます。

【後継者への生前一括贈与がやりやすくなる】

これまで、先代が元気なうちに後継者に経営を任せても、多額の贈与税がかかることがネックとなって、株式を生前に贈与しておくことが難しく、後継者の立場を不安定にさせてしまうことがありました。そこで、後継者が、先代経営者から自社株式等の贈与を受け、経営者として経営していく場合には、その株式等(一定の部分に限る)にかかる贈与税の納税を猶予し、先代の相続発生時までその株式を持ち続けるなど、一定の条件を満たせば、猶予した贈与税が免除されることになります。これにより、自社株式等を後継者へ生前一括贈与しやすくなり、早いうちから後継者の経営者の地位を安定させることができるようになりました。ただし、その適用を受けるには、先代が役員を退任するなど、いくつかの厳しい条件がありますので注意してください。

 ※ 注意要綱 

・ 一括贈与であること(後継者の既保有分と合わせて議決権株式の2/3に達するまでの部分)

・ 先代は役員を退任

・ 後継者は20歳以上で役員就任3年以上であること

・ 贈与税額の計算は暦年課税(基礎控除後で、例えば1,000万円超の部分は最高税率の50%になります)

【相続発生時の後継者の税負担が大幅に軽減される】

猶予中の贈与税は、先代経営者(贈与者)が亡くなったときに免除されます。その際、贈与された自社株式等を後継者が先代から相続されたものとみなして、新たに贈与時の価格で相続税が課税されるため、ここで相続税の納税猶予の適用を受けることで、その相続税の負担を軽減することができます。相続税の納税猶予とは、後継者が先代から自社株式を相続した場合には、経営者として経営していくことを条件に、その株式(一定の部分に限る)の80%に対応する相続税が納税猶予されるものです。猶予された相続税は、一定の条件のもとで保有し、後継者が亡くなったとき、あるいは次世代の後継者に生前一括贈与したときに免除されます。このように贈与税と相続税の納税猶予制度をあわせて活用することで、事業承継の障害の一つであった、後継者の自社株式にかかる贈与税・相続税の負担問題が大きく改善されるとともに、さらに次の世代へのスムーズな事業承継がしやすくなります。

◎ 納税猶予制度が適用される条件

納税猶予を受けるためには、中小企業基本法上の「中小企業者」であることや経済産業大臣の認定を受けることのほか、先代経営者、後継者に一定の要件があります。要件は、相続税、贈与税もほぼ同様ですが、贈与税は要件が厳しくなっているので注意して下さい。

※ 贈与税の納税猶予制度は、平成21年4月1日以降の贈与にかかる贈与税について適用されます。

※ 相続税の納税猶予制度は、平成20年10月1日以後の相続等にかかる相続税について遡及して適用されます。平成20年4月1日から平成21年3月31日までの間に亡くなられた方にかかる相続税については一定の要件を満たす場合に、その申告期限が延長されます。

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2009年6月19日 (金)

黒字化のヒントは現場にあり!

非常に厳しい経営環境にあって、企業にとって利益を出すことは並大抵のことではありません。いうまでもなく利益は、企業の存続・発展のために不可欠なものです。黒字化に向けた問題解決のヒントがつまっている現場を再点検しましょう。

【中・長期的には、黒字体質づくりが必要】

「平成19年度分会社標本調査」(国税庁)によると、平成19年4月~平成20年3月において欠損法人(赤字企業)の割合は7割弱(67.1%)となっていましたが、平成21年3月末までの平成20年度調査では、急激な景気悪化により欠損法人はさらに増加すると予測されています。今回の急激な景気低迷には、まずは政府の緊急保証制度等でなんとか急場をしのがなければなりません。しかし、中・長期的には、黒字体質づくりを避けて通るわけにはいきません。というのも赤字が続くと、いずれ資金は枯渇し、企業の体力は奪われ早晩倒産に到るからです。また、「2期連続赤字の企業」や「債務超過の企業」などになると、金融機関は債務者区分を引き下げて「要注意先」以下や不良債権(要管理債権)とみなして、一括返済を迫ってくることも考えられ、より厳しい状況に陥ることになりかねません。したがって企業が存続するために、厳しい状況であっても利益を出し、黒字経営に転換することが必要不可欠です。

【業績アップの解答は現場にある!?】

業績改善の解答はすべて現場にあるといわれ、現場を見ないでは的確な判断ができません。そこでまず経営者は、現場や顧客のところに足を運び、経営者でなければ気付かない問題点や顧客のニーズなどを直接感じとることからはじめましょう。そして感得した問題点などに知恵と工夫で対応していくことが、業績向上への第一歩となるのではないでしょうか。実際に、そうしたことで赤字から黒字に転換した企業があります。

『現場での判断で仕様変更を受けていたA社』

内装工事業を営むA社は、工務店からの仕事を途切れることなく受注し、着実にこなしていましたが利益がでていませんでした。現状を分析したところ、思ったよりコストがかかっていたことが判明しましたが、その原因がわかりませんでした。工事現場を回っても、これといった問題は見当たりませんでした。そこで、社員たちの本音を聞こうと飲み会を開催しました。酒も回ったところで、ある社員から「工務店の現場監督から仕様変更や追加などをしばしば依頼され、受けた事がある」といった話が出ました。ほかの社員にも同様のことがあるようで、日常的にサービスで仕様変更等を受けていたことがコストアップの原因であることが明らかになりました。そこで社長は、受注先の工務店等に対して自社の現状を説明し、仕様変更や追加等については、今後、社長決裁とすることについて協力をお願いしました。同時に社員に対してコスト意識を徹底させました。この結果、1,000万円の黒字化に成功しました。

『商品化できる部分を処分していたB社』

魚の卸売業を営むB社は、利益が出ず赤字となっていました。社長は原因を分析しましたが、これといった問題点は見当たりません。そこで、業務を見直そうと、現場に出向いて魚をさばく段階からよく観察してみました。すると社員たちは、魚をさばくときまだ商品にできる部分を処分していたのです。そこで、社長は、社員たちに経営の現状を包み隠さず説明し、「これまで処分していたものでも商品化できるものは、商品として販売するので協力してほしい」と訴えました。社員たちは会社の窮状を知り、コスト意識をもって知恵を出し合い、ムダをなくすなどの改善を行いました。その結果、800万円の利益を計上できるようになりました。

『顧客のニーズを把握していなかったC社』

生コンの流れをよくする混和剤のメーカーC社は、売上が不振で赤字経営を続けてきました。社長は、公共事業の減少と不況のため仕方がないと考えていましたが、このままでは倒産も避けられないとの思いから、まずお客様の声を聞こうと顧客訪問をしました。すると、得意先から「操業に支障を来すため、御社から買いたくても買えない」との苦言があったのです。というのも得意先の生コン工場にC社負担で設置している貯留タンクが他社より小さく、使い出すとすぐ無くなるうえ、補充を頼んでもすぐに届かないからでした。そこで社長は、大きいタンクに取り替える余裕はないため、まず効率が悪くても顧客の操業に支障を来さないよう万全な配送を行うとともに、自社の配送能力に合わせて顧客を絞り込むなど配送体制を見直しました。その結果、業績は上向き何とか利益が出せるようになりました。

これらの事例のように、社長自ら現場にでることによって、今まで見えていなかった問題点など、黒字化へのヒントが数多くあることがわかります。社員の方々の意見等を、きちんと聞いてあげることも、利益を出すうえでは、とても大切なことではないでしょうか。

 ※ 経営環境が厳しい中、人件費の負担が適正な水準かどうかチェックしておきたいのですが・・・。

労働分配率を確認してください。この指標は、限界利益に占める人件費の割合を示し、この比率が高ければ高いほど人件費の負担が大きいことを意味し、赤字転落の危険性も出てきます。この数値が業界平均等と比べて高い、または年々増加している場合は注意です。

・労働分配率(限界利益)%=人件費(当期労務費+販売人件費)/限界利益×100

・主要業種別の労働分配率(限界利益)(%)

・全産業(53.1)、・建設業(57.4)、・製造業(53.3)、・卸売業(49.7)、・小売業(52.0)、・宿泊・飲食サービス業(50.4)、・サービス業(他に分類されないもの)(63.1)。

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2009年6月15日 (月)

“ 間違えやすい消費税の処理 ” ~ Vol.2~

前回に引き続き、間違えやすい消費税の処理について、お話します。

【親会社から社員の出向を受け入れています。親会社に毎月支払う経営指導料は課税仕入れになりますか?】

親子会社間で社員の出向を行う場合に、出向先の会社が出向元に対して、給与負担金を支払うことがあります。給与負担金は、出向者に対する給与とされ、課税仕入れになりません。説例のように、経営指導料という名目であっても、実態は給与負担金と変わらないため、仕入税額控除はできません。

(参考) 人材派遣会社からの派遣受け入れ・・・

人材派遣会社から社員の派遣を受ける場合に、人材派遣会社に支払う派遣料は、課税仕入れとなります。

【工作機械を3年リースで取得しました。(リース料総額945,000円、毎月のリース料26,250円×36回)。リース料の消費税処理はどうなりますか?】

原則的処理では、リース取引を売買取引とみなし、リース資産の譲渡として扱うため、リース料総額945,000円がリース初年度に全額課税仕入になります。(一括控除)。しかし、リース取引について、中小企業には、売買取引ではなく賃貸借処理が認められることから、賃貸借処理で行うケースが多くあります。この場合には、毎月のリース料(26,250円)を支払うごとに、課税仕入とすることが認められます。(分割控除)。リース料の消費税処理は、一括で仕入税額控除ができる原則的処理が有利といえますが、処理が煩雑になるうえ、リース資産を資産計上しなければならないことから、賃貸借処理を選択することが多いようです。

【国や自治体に支払う行政手数料は、非課税扱いになりますか?】

自動車購入の例であげた検査登録、車庫証明などの法定費用のように、国、地方公共団体等が固有に行う登記、免許その他の一定の行政サービス手数料など法令に基づくものは非課税となります。反対に法令に基づかないものは課税されます。

◎ 非課税取引となるもの・・・。 登記料、特許料、住民票・戸籍謄本等の取得手数料。

◎ 課税取引となるもの・・・。 公共施設の貸付の対価や利用料。水道施設利用権。自治体に支払うゴミ処理料金。

(参考) クレジット会社に支払う手数料・・・

クレジット会社と提携し、クレジットによる支払いができる小売店等が増えていますが、お店がクレジット会社に支払う手数料は、非課税となります。

消費税の処理は、税務調査においてよく指摘されますので、不明な点は当事務所までお気軽にお問い合わせください。

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2009年6月 5日 (金)

“ 間違えやすい消費税の処理 ” ~ Vol.1~

消費税には、課税対象となる「課税取引」、消費税の性格上もしくは社会政策的配慮等から課税されない「非課税取引」、最初から課税対象を満たしていない「不課税取引」があります。課税・非課税・不課税の処理を誤ると、消費税額に影響するため注意が必要です。今回は、間違いの多い事例の中から、外注費、割賦手数料、リース取引などを、2週に渡りお送りします。

【下請業者に支払った外注費は課税仕入でしょうか?】

建設業では、一人親方などの個人事業主に工事の一部を依頼し、外注費を支払う事があります。外注費は、課税仕入れとして仕入税額控除を受けることができます。しかし、税務調査では、これを外注費ではなく給与と指摘されることがあります。給与は不課税取引ですから、給与と認定されると、仕入税額控除ができなくなるうえ、給与の源泉所得税の徴収漏れになります。そうなると、外注費は金額が大きいことが多いため、修正後の税額も大きくなってしまいます。外注費か給与かは、それが請負契約か雇用契約かで判断されますが、請負契約の判断は、次のような要件をもとに総合的に行われます。

・ 下請業者(受注先)に当社以外にも発注元がある。・ 当社の指揮監督を受けていない。

・ 当社から材料、用具を提供していない(提供を受けている時はその対価を支払っている)

・ 下請業者が請負金額を計算している。・ 下請業者で使用人を雇っている。

以上の目安はありますが、下請業者の仕事内容は様々ですから、実際には判断が難しいところです。ただ、請負であることをきちんと明示できるように、最低限、次のようなことは必要でしょう。

・ 請負契約書(業務委託契約書)を作成する。・ 請求書を発行してもらう。

・ 領収書を受け取る(収入印紙を忘れずに!)。

【営業用自動車をローンで購入しました。ローンの割賦手数料は課税仕入ですか?また、自動車の諸費用の課税、非課税について教えて下さい】

購入者が支払う割賦手数料(契約においてその額が明示されていること)は非課税取引とされ、課税仕入にはなりません。自動車の購入の場合には、取引のなかに課税取引となるもの、ならないものがあります。

◎ 課税取引となるもの

・車両本体、付属品。・各種費用(検査登録代行費用、車庫証明代行費用、下取車査定料、資金管理料金など)

◎ 非課税取引となるもの

・自賠責保険の保険料。・自動車諸税(自動車税、自動車取得税、自動車重量税)

・法定費用(検査登録、車庫証明、下取車登録)

自動車リサイクル法により、新車購入時等にリサイクル料金を預託しますが、預託時には資産計上して不課税で処理し、廃車時等に費用化して課税仕入とします。但し、リサイクル料金のうち、資金管理料金は、支払時に費用処理して課税仕入れとします。

【今月のワンポイント実務】

平成21年度から、労働保険(雇用保険と労災保険)の年度更新の手続きが、6月1日から7月10日までの間に変わります。年度更新の時期が社会保険(健康保険、厚生年金保険)の算定基礎届けの提出期限と重なりますので、注意しましょう!!

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2009年6月 3日 (水)

雇用維持のための体質改善とワークシェアリング

 中小企業では、人材が最も大事だと言われます。というのも従業員の解雇は即、製品等の品質低下や業績悪化等に直結するだけでなく、好況になった時の仕事の受注にも影響するからです。今回の大不況の中で、雇用を維持するための体質改善とワークシェアリングについて考えてみましょう。

【能率良くムダなく運営していますか?】

 まず、体質改善に手をつけなければなりません。今までも取り組んできたと思われますが、能率よくムダなく合理的に運営されているかを再度見直してみましょう。

【雇用維持対策としてのワークシェアリングとは?】

 体質改善を踏まえた上で、雇用を維持する方法としてワークシェアリングが考えられます。実際に休日を増やすなどで、緊急的に対処している中小企業もあります。

(1)ワークシェアリングの考え方 

 不況による整理解雇をすることなく、雇用を守るため従業員が協力して仕事を分かち合おうというのがワークシェアリングです。オランダでは1982年にすでに実施して成功し、わが国では平成14年に政労使による「ワークシェアリング検討会議」が開かれ、また日野自動車など個別企業での実績もあり、必ずしも目新しい考え方ではありません。

(2)ワークシェアリングの3つの形態

 ワークシェアリングには、次のような3つの形態があります。

①労働時間の減少:所定労働時間そのものを減少させるというものです。

②休日の増加:週1日の法定の休日や有給休暇とは別に休日を増加させるというものです。

③ジョブシェアリング:一定量の仕事を社員で分かち合うというもので、1人当たりの仕事量は減少します。

(3)実施の際の留意点

 ワークシェアリングを実施する際には、以下の点に留意する必要があります。 

①従業員の充分な理解と協力が前提となります。

②ワークシェアリングに適不適の業種や職種もあるので充分検討します。

③ワークシェアリングを一時的な緊急避難的に使うのか、中長期的に就業形態を見直す方策とするのかを検討し方向を決めます。

④職種ごとに職務を明確化します。

⑤フルタイマーとパートタイマーは時間の長さが違うだけなので、他の点について差別をするべきではありません。

⑥時間単位の賃金を検討します。

 ※時間単位の賃金額を減少させないケースもあれば、時間当たりの賃金を引き下げざるを得ない場合もあり得ます。なお、この時間単位の賃金の基礎は、時給計算でない月給制の場合などでは基本給を対象とすべきでしょう。

(4)従業員の士気低下に注意

 ワークシェアリングは非常に有効ですが、デメリットもあります。それは、この方法によって、高い付加価値を生み出す従業員の労働時間を縮小することになると同時に、賃金低下等によって優秀な従業員の士気を低下させ、かえって生産性を低下させる可能性があるという点です。このことは、よく理解しておく必要があります。

~事例~休日増と給料削減を実施

 金属加工業のA社は、不況の影響で昨年後半以降、受注が6割も減少しました。A社長は「景気が回復した時に備えて、人は解雇したくない」と考え、社員に実情を話し納得を得た上で、社員を2組に分けて、週休2日を4日にして交替で休むことにしました。給料を一律2割削減しました。給料は減少しましたが、社員間には皆でこの苦境を乗り越えていこうという空気が生まれ頑張っています。

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