「中小企業経営承継円滑化法」ってなに?
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下、中小企業経営承継円滑化法)は、平成20年5月に国会で成立し、今年10月1日から施行されています。
【中小企業経営円滑化法はなぜできたの?】
承継において、相続税の重い負担やほかの相続人への遺留分(遺言などによっても侵されない、法定相続人に認められる一定の相続財産の取り分)制度による資産の分散によって、廃業を余儀なくされる中小企業は多いようです。平成18年版中小企業白書によると、「後継者がいなことを理由に、毎年約7万社の企業が廃業し、これに伴って20~35万人が仕事を失っている」と推定されています。このままでは、雇用が確保できないだけでなく、中小企業がもつ高度な技術が失われることも懸念されています。そこで政府は、地域経済の活力維持のためにも、日本経済の基盤ともいうべき中小企業の経営承継を総合的にバックアップするために、「中小企業経営承継円滑化法」を創設しました。
【対象となる中小企業とは?】
中小企業経営承継円滑化法の適用対象となるのは、一定期間以上継続して事業を行っている一定の非上場会社で、原則的には中小企業基本法上の中小企業です。
【中小企業経営承継円滑化法の3つのポイント】
中小企業経営承継円滑化法は、次の3つのポイントからなっています。
(1)遺留分に関する民法の特例
この民法の特例については平成21年3月1日施行です。利用できるのは3年以上継続して事業を行っている中小企業で、その内容は次のとおりです。
●贈与株式等を遺留分算定基礎財産から除外できる制度
先代社長の生前に、経済産業大臣の確認を受けた後継者が、遺留分の権利を持つ者全員との合意内容を家庭裁判所に許可を受けることで、先代社長から後継者へ贈与された自社株式その他一定の財産について、遺留分算定基礎財産から除外できます。
●贈与株式等の評価額をあらかじめ固定できる制度
経済産業大臣の確認を受けた後継者が、遺留分の権利を持つ者全員との合意内容を家庭裁判所に許可を受けることで、遺留分の算定に際して、贈与株式の金額をその合意時の評価額であらかじめ固定できるようになります。これにより、後継者の貢献による株式価値の上昇分は減らされないことになります。
(2)金融支援制度の創設
経済産業大臣の認定を受けた中小企業者(非上場会社および個人事業主)ならびにその代表者に対して、相続が発生した時に必要となる資金調達を支援するため、次の特例が設けられました。
●中小企業信用保険法の特例
会社(個人事業主を含む)の資金需要に対応。信用保険が拡大(別枠化)され、株式、事業用資産等の買取資金や一定期間の運転資金等の融資の際に保証が受けられます。
●日本政策金融公庫法の特例
後継者個人の資金需要に対応。代表者個人に対する融資を行い、株式、事業用資産等の買取資金、相続税納税資金、遺留分減殺請求(遺留分を侵している他の相続人に対して遺留分の不足分を請求すること)への対応資金等の調達について支援されます。
(3)相続税の納税猶予の特例(創設予定)
後継者が相続等によって取得した自社株式(非上場株式)等の課税価格の80%にあたる相続税の納税を猶予するという特例です。平成21年度税制改正に盛り込まれ、国会で審議され成立すれば、平成20年10月1日から遡及適用される予定です。


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